オオスミの営業部へ転籍となり早数年。日々、多岐にわたるお客様からのお問い合わせに右往左往しながらも、少しずつお客様からの要望に応えられるようになりました。しかしながら、要望に応えられるといってもあと数パーセント足りないと思うことがあります。
そんな時「何十パーセントも足りない」と悔しい思いをしたあの日を思いだします。
入社する十数年前のことです。私は、日本から飛行機で約4時間(国際線)+2時間(国内線)の南国フィリピン共和国の離島でボランティア活動をしていました。その島は、欧米では名の知れたリゾート島です。欧米が極寒の季節になると長期休暇を楽しむ欧米旅行者が島中にあふれます。フィリピン人に「フィリピンでお勧めはなに?」と尋ねると、マンゴーやドリアンに並び必ずベスト3に入るほどの観光地でした。
当時、わずか数キロしかない白いビーチには、許容範囲を超えた宿泊施設や商業施設が並び、追いつかない排水処理による水質悪化、島外から持ち込まれる物資の役目を終えた後の廃棄物など、観光地として有名になればなるほど様々な問題が起きていました。
水質悪化は、藻の大量発生や、遊泳に不適格な水質というレッテルを貼られるなど、直接的に観光地としてのイメージダウンにつながります。そのため、排水処理設備の設置が州政府により急速に進められ、以前よりは改善されています。 しかしその一方で、観光客が立ち入らない場所に廃棄物がオープンダンプ(単純投棄)され、自然発火による煙が濛々と立ち上がるような状況がなかなか改善されません。
そのような中、私はボランティアとして投棄された廃棄物に対して、何ができるかを、現地の人々と一緒に考え、ビーチでごみ拾いをしながら啓蒙する活動をしていました。時には小学校に出向き、廃棄物をテーマとしたワークショップを先生方や他のボランティアとともに開催することもありました。
ボランティアの期間は2年間、結局それだけの時間では、廃棄物の問題は解決の糸口すら見えず、一緒に活動を行った現地の人々との思い出だけが心に残りました。
いまだにお客様からの要望に対して数パーセント足りない、と思うことがありますが、以前よりは足りないと思うことが少なくなってきています。フィリピンの島では、数パーセントどころではありませんでしたが、いつかまたボランティアできる機会があれば、足りないパーセンテージをもう少し縮められるのではないか、もう少し役に立てるのではないのかと思っています。