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記憶の掘り起こし

以前読んだ、とある作家さんのエッセイに、「昔の記憶を呼び起こすコツは、当時の地図を描いてみること」という趣旨の一文がありました。例えば小学校時代の記憶ならば、通学路の途中にあった友達の家やお店の場所を地図に落としこんでいくと、記憶の片隅に押しやられていた思い出が呼び起こされるという・・・。
私は、仕事でそれに近い光景を目の当たりにすることがあります。

ヒアリング調査とは

オオスミでは土壌調査の足がかりであるPhaseⅠ調査(履歴調査)も手掛けています。

この調査では、対象地が工場等の場合、昔の地図や登記簿などの資料精査に加えて、 ヒアリング調査をおこなうことがあります。

ヒアリング調査では、書類や図面を基に取り扱う薬品等の種類や量、取扱い場所などを確認していきますが、長く工場用地等として利用されている土地では、古い薬品リストや図面が完備されているケースの方が稀かもしれません。
この場合、次におこなうのは長く勤務されている方やOBの方などへの利用状況の聞き取り調査になるのですが、これも昔の記憶を呼び起こすのはなかなか大変。

そんな時に思いがけず活躍してくれるのが「空中写真」なのです。

頼りになる空中写真

昨今は、インターネットの地図サービスの普及により、空中写真の閲覧が身近なものになりました。しかし、ここで見られるのはあくまでもここ数年の写真。

オオスミの地歴調査では、昭和20年代以降の空中写真を精査し、ヒアリングの際の資料としても持参します。

uti.JPG ヒアリング調査では住宅地図も持参しますが、空中写真の方が反応がよく、皆さん一様に、『こんな昔の写真があるんだ!?』と驚かれ、次第に、『そうそう、これは昔の倉庫だよ』とか、『この建屋では組立て作業をしていたね』というように、記憶が掘り起こされている様子が実感できます。

このようにして得られた記憶を手がかりに、潜在化していた事柄が判明するケースは意外と多く、空中写真はヒアリング精度の向上に貢献しています。

あなたには何の発見が?

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ところでヒアリングでは、「こんな昔の空中写真どこから入手するの?」とよく聞かれます。オオスミでは国土地理院から購入した高精細な写真を使用しています。

なお、試しにどんなものか見てみたいという場合、同院の「地図・空中写真閲覧サービス( http://mapps.gsi.go.jp/ )」で解像度を落としたものが閲覧できます。

余談ですが、以前、私はこのサイトで実家の新築当時の空中写真を父に見せました。
しばし感慨深げに眺めていた様子から察するに、きっと父の記憶の掘り起こしにも一役買ってくれたことでしょう。kutusyasin.png

※PhaseⅠ調査(履歴調査)については、以下のページをご参考ください。
・オオスミのHP 『土地履歴調査 Phase1』
・オオスミのブログ『土壌調査の専門用語「フェーズⅠ調査」とは?』

調査第一グループ 大八木