オオスミで営業を行って9年になります。最近、オオスミのできる仕事は、かつて懐かしい風景の中にあったいくつかの「見えない矛盾」を明らかにして、これから新しい景色を作っていく人たちのための「羅針盤のようなもの」なのかと思い始めています。
オオスミの仕事として、建物解体に伴う各種分析調査があげられます。再開発事業となれば、事業対象地でご商売をされている方や長年居住されている方々を巻き込んだ一大事業となります。高度成長期の日本の歩みを振り返って、オオスミがどんな仕事をできるのかを考えてみました。
建材中のアスベストについては、建物建材のみならず様々な用途で使用されていたのは周知の事実ですが、日本国内で使用されたアスベストの多くは建物の屋根や壁、耐火被覆材など建物用途が主でした。
建物窓枠(ゴムパッキンのようなもの)には、ゴムの柔軟性を増すためにPCBを使用した「建築用ポリサルファイド系シーリング材」という建材が使用されていることがあります。なお、1972年にPCB使用が自粛されたため、1973年以降製造されたシーリング材にはPCBは含まれていないとされています。
古い変圧器等に含まれているかもしれないPCB絶縁油は、主に日本国内では、トランスやコンデンサ、蛍光灯の安定器、なじみの薄いものでは感圧複写紙にも含まれていました。1970年代の映画の中で、電柱を見上げると付いていた大きなバケツ様のものがいつ落ちてくるか不安になったものです。
なお、「PCB廃棄物特別措置法」が施工された当初は、緩やかな処理速度でしたが、処理期限が迫っていることもあり、近年急速に処理が進みつつあります。
焼却灰中のダイオキシン類については、1992年内田裕也氏が主演・企画・脚本を手掛けた「魚からダイオキシン」が有名ですが、1960年代から1990年代初頭まで、TVにて野菜に付着した焼却灰の報道が大々的になされ早々に撤去されるまでは、各家庭や学校には小型焼却炉が置いてあったものです。
「敷地内に広がっているかもしれない土壌の汚れ」については、大規模な工場・事業が立地していた地域の再開発事業には、その懸念がつきものです。しかしながら、小さな街角の集合体のような地域の再開発事業でもその懸念は存在します。
建物とともに失われてゆくものも多い再開発事業ですが、次世代の新しい景色を生み出す一つの過程と思えばさみしいものではないのではないでしょうか。