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ある海水浴場の整備において感じたこと

 pixta_3097110_S.jpgのサムネイル画像奄美大島の宇検村にタエン浜という海水浴場があります。長さは約500mでそれほど大きくはありませんが、南国の特徴である白い砂とエメラルドグリーンの海が非常にきれいな景観を作っています。
 夏には当然海水浴客が多く集まりますが、冬には釣りを楽しむ人たちが集まってきます。海水浴客にとっては波も静かで遊びやすく、また擾乱※1による砂浜の侵食も少なく、養浜※2のための砂の補給も少ないです。
 今では整備されているこの海水浴場ですが、30年ほど前までは様子が違っていました。

波から守る

 海水浴場を整備するために、鹿児島県が砂浜の端から端までおよそ約2m四方のコンクリートブロックを砂浜の上端から階段状に数段並べ海水浴客が歩きやすくまた腰を下ろして楽しめるようにしたのですが、一度の擾乱で波によりまくり上げられてしまい、元に戻すのに費用がかかる状況になっていました。

 施設を守り、砂の侵食も防ぎさらに海水浴客を大きな波から守るためにも何かしら対策を立てたいという話を鹿児島県がしていました。単純に大きな波を制御し施設、砂浜や海水浴客を守るのであれば離岸堤※3を建設することを考え付くのですが、これでは海水浴場のせっかくの眺望が奪われてしまいます。そこで県は検討し、人工リーフを建設することにしました。人工リーフは一種の潜堤※4 なのですが、眺望を壊すことはなく奄美大島にはピッタリの提案だったと思います。

 さらにこの時は波だけでなく横からの流れにより砂を運ばれるのを防ぐために砂浜に対する平行流を防ぐための防波堤を1本計画しました。
 これらの計画をもとに今から約20年前に建設が始まり完成し景観を損なうことなく美しい現在の姿に至っております。

 この例のように、当社としても対策計画や工事において環境保全のためのものではありますが、さらに環境創造まで考慮したことができる業務展開をしていきたいと思っております。

※1:擾乱(じょうらん):自転などにより地球の大気圏で起こっている対流の内、通常の動きとは異なる、比較的小さな乱れ。例えば、台風など。
※2:養浜(ようひん):地表から露出している岩石や浸食された海岸に、砂を寄せて砂浜を造成すること。
※3:離岸堤(りがんてい):沖合からの波の力を弱め、海岸の侵食防止とともに、砂の堆積を促す堤防状の構造物。
※4:潜堤(せんてい):堤防の本体の大部分が水面下に没した消波構造物。

 取締役 田口