最近、紙の地図を見る機会はありましたか?
デジタル化が著しい今日この頃、旅行先などで紙の地図を片手に歩くことは、めっきり減ってしまったのではないでしょうか。少し前までは、スマートフォンの地図機能も動きが重く、情報が曖昧なため、紙の地図を使うことが多くありました。
しかし、現在のデジタル地図は情報もどんどん更新されますし、GPSも組み合わさって、ナビゲーションなどの機能も豊富です。
ペーパーレスの動きが広がっている状況も重なり、紙の地図は確実に窮地に立たされています。
「紙の地図は、近いうちになくなる」
デジタル化やペーパーレスの動きに伴って、そういった意見がよく聞かれるようになりました。
しかし、本当にそうでしょうか・・・?
私は、この時代の中でも紙の地図はしばらく残るのではないかと考えています。
いくら情報が新しく機能が豊富でもデジタルは電力がないと動きませんし、災害時や悪天候時、通信状況の限られる場所で使用する際には、障害もないとは言えません。
私がアナログ人間寄りなのかもしれませんが、ページをめくればそこにある安心感は、紙の地図ならではだと思います。
例えば、洪水のハザードマップや付近の避難場所等を示した地図などは、紙で保管することが多いと思います。
一度紙で見慣れていると、いざというときに慌てないで済むかもしれませんね。
今私が携わっている地歴調査では、過去にさかのぼってその土地について調べます。
100年以上前の地図を目にすることもあり、現在の地図とは地形も表記も異なることばかり。
そのため、私たちの業務には最新情報の地図よりも、古い情報の地図のほうが大切になってきます。
当然、そういった地図のもとは紙なのでスキャニングしたものを使用しますが、もとは紙であったそれらの地図で、普段目にしないような旧字体や、右読みの文字、達筆すぎる手書き文字などをデジタルの画面上で見ると、自分が時代のちょうど境目にいるような、なんとも不思議な気持ちになります。
紙とデジタル両方が混在する時代、新しいものに目が行きがちですが、ふと振り返ってみると、案外すぐそばに読み込んでいた紙の地図が転がっていたりします。
画面を見るのに疲れたら、パラパラとページをめくって、向きに合わせて両手で地図をぐるぐるまわしてみてはいかがでしょう。紙の地図もなかなか趣があって良いものですよ。