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病院の作業環境の改善

byouin.jpg 近年、病院関係からの作業環境測定の依頼が増えてきました。

 病院では、病理検査室や切り出し室、滅菌室などで作業環境測定の対象となる発散しやすい有害な薬品やガスを使用することが多く、環境改善に頭を悩ませている担当者も少なくありません。

作業環境測定とは

 sagyo.jpg作業環境中に有害な要因がある場合、その要因を取り除くか、ある一定の限度まで低減させて、作業者の健康障害を未然に防止することが必要です。作業環境中の要因とは、有害な化学物質やじん肺の原因となる粉じん等の物質のほか、室温や騒音、放射線等の物理的な要因もあります。

 作業環境測定は、作業環境中にこれらの有害な要因がどの程度あり、その作業環境で働く作業者がこれらにどの程度さらされているのかを把握するために実施します。

作業環境測定の結果からの提案

 ある病院では、数年前から病理検査室のホルムアルデヒドの作業環境測定を実施してきました。病理検査において、適格な病理診断を行う為には、適切な標本作りが欠かせません。その鍵を握るのは検体を採取した後の固定です。検体は生体から切り離された(酸素及び栄養の供給を絶たれた)瞬間から変性が始まります。いち早く生命活動を停止させると共にその状態を形態的に維持するのが固定です。病理検査に用いられる一般的な固定液は10%ホルマリン(ホルムアルデヒド濃度35~37%を希釈したもの)です。

 病理検査室内には、換気装置があったのですが、なかなか作業環境管理が適切であると判断される第一管理区分にならず困っていました。

 そのため、ホルムアルデヒドの健康障害防止対策として換気性能の優れた換気装置を導入するとともに、作業管理の改善を提案しました。
 例)ホルムアルデヒドによる一般的な健康障害防止対策
 ①  有害性の少ないホルムアルデヒド代替品への転換
 ②  作業方法の改良による発散防止 (使用形態、使用条件の変更等)
 ③  設備の密閉化、自動化、有害工程の隔離でホルムアルデヒド発散量の低減
 ④  局所排気装置による拡散防止 (局所排気装置・プッシュプル型換気装置)
 ⑤  希釈換気による気中濃度の低減(全体換気・建物の構造改善)
 その他、作業において発散するホルムアルデヒドを抑える取り組みとして、
 ・蓋付きのゴミ箱の設置
 ・こぼしたら、即拭き取り発散させない
 ・容器は開放にしないよう使用後は必ず密閉するなど

 その後、病院では大型の局所排気装置の導入と作業管理の見直しが行われました。その結果、導入後に行った作業環境測定は、第1管理区分を達成しました。
 その時、担当者がそっと言って下さいました。「オオスミさんのおかげです」と・・・この仕事をやっていて良かったと思う瞬間です。ありがとうございました。

調査第二グループ 佐藤