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変わりゆく川の環境整備~ザリガニを捕りたい~

 先日、小学校の娘が「学校で飼うからザリガニを捕りに行きたい」と言ってきました。
 私の家の近所は比較的緑の多く残っている場所で、今でも雑木林などでクワガタムシやカブトムシを捕ることができます。
 私の小学校時代には近所の小川や池でザリガニやカエル、オタマジャクシなどを捕まえては飼育していました。

小川が無い

 今も同じ町内に住んでいるため、散歩を兼ねて娘とかつて遊んだ小川や池を見に行くことにしました。
 残念なことに小学校時代に泥だらけになってザリガニやカエルを捕まえた小川は暗渠(地下に埋めた水路)や三面護岸になり、池は埋め立てられていて生き物の姿はほとんどありませんでした。40年もたてば当然なのですが...。

 kawa1.png  暗渠は事故を防いだり、三面護岸などは増水時などに水を素早く流すことができるなど、安全や治水の面から考えれば効率的ですが、昔の小川を知っているだけに少し寂しい気がしました。

 現場でも、私は仕事で河川の採水などに出ることがありますが、多くの河川が三面護岸されているように感じます。採水と同時に底質(川底の土)を採取する際などコンクリートにあたって採取できないこともあります。

生態系の保全と復元に向けて

 しかしながらここ20年ほどは生態系の保全や復元を目的とし、植物や土、岩石によって護岸を行う近自然工法を採用するところも増えてきています。

 オオスミの近くには、1980年代に三面護岸の中に河原を再現した多自然型河川整備の草分けと言われる横浜市栄区を流れる「いたち川」をはじめ、1993年に日本で最初に三面コンクリート護岸を剥がし、近自然工法による河川改修が行われた大和市を流れる「引地川」の「ふれあい広場」の護岸があります。
 多自然型河川整備に関しては1990年に建設省(現国土交通省)が「多自然型川づくりの推進について」を策定、その後河川法の改正を受け、国土交通省は2006年に「多自然川づくり基本指針」を定め、「多自然川づくり」をすべての河川における川づくりの基本として取り組むこととしています。
kawa2.png  「多自然川づくり」は「河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境、並びに多様な河川風景を保全あるいは創出するために、河川の管理を行うこと。」と定義されています。

 自然と治水・安全との両立により川をさらに身近に感じられるようになるかもしれません。

ザリガニの釣果

 肝心のザリガニ釣りはどうしたかというと、町内に昔の小川の流れを利用した「いこいの水辺」という場所があります。ところどころにあずまややベンチが置いてあり、散歩をする人、休憩する人など様々に楽しんでいます。その途中にある少し大きめの水場で小学生が何人もザリガニ釣りをしていました。

 私も約40年ぶりにやってみました。昔は得意だったのですが、意外と難しく時間も忘れて楽しんでしまいました。結局、娘と二人で20匹ほど釣って持って帰りました。
 川幅も狭く、生物の種類も多くは無いのですが、子供たちが身近に自然と触れあうことができる貴重な場所だと感じました。
 釣れたザリガニがアメリカザリガニなのは、また、別の問題があるように思いますが...。

 釣ったザリガニは翌日娘が嬉しそうに学校に持っていきました。


【参考】:国土交通省 水管理・国土保全 環境 「多自然かわづくり」
http://www.mlit.go.jp/river/kankyo/main/kankyou/tashizen/

調査第二グループ 徳正