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四塩化炭素からジクロロメタン!?

 tuti.jpg土壌汚染対策法の一部を改正する法律が平成29年5月19日に公布され、第1段階として平成30年4月1日に施行されました。第2段階の施行期日は、平成30年9月28日に「土壌汚染対策法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」が公布され、平成31年4月1日と定められました。その中で私が釘付けにされた内容がありました。

分解経路の考慮

 試料採取等対象物質の決定に当たり、四塩化炭素が分解して生成したジクロロメタンについても試料採取の対象とする。
 という衝撃的!?な内容でした。

 なぜ衝撃的!?なのかと言うと、土壌調査業務に10何年と携わってきましたが、今まで知らなかったことだったからです。化学には疎かったため、「四塩化炭素からジクロロメタンに分解なんて、本当なのだろうか?」と思いつつも、分解経路について調べてみました(下図参照)。

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 「本当に分解するのか・・・自分はまだまだ甘いな」と、思い知らされたと同時にあることを思い出しました。
 何年か前になりますが、四塩化炭素を廃棄していた工場の土壌調査において、私は土壌ガス分析に携わりました。四塩化炭素を廃棄していたこともあり、四塩化炭素は検出されましたが、ジクロロメタンも検出されました。その当時は、「四塩化炭素の他にジクロロメタンもいっしょに廃棄していたのかな」と思っていました。
 四塩化炭素が検出されることは、非常に珍しいことなので、この分析については記憶に残っており、「あのジクロロメタンは、四塩化炭素が分解され生成されたものかもしれない!!!」と二度目の衝撃を受けました。

 この改正が施行されると、四塩化炭素の使用等履歴がある場所については、四塩化炭素とともに分解生成物のジクロロメタンについても、汚染のおそれがある物質として調査を実施することになります。

 率直な疑問が・・・

① 分解経路中のクロロホルムは、土壌環境基準・土壌汚染対策法では規定されている項目ではありません。規定しなくて良いのだろうか?(クロロホルムは水質の環境基準においては、要監視項目ではある。)
② 現行法では、クロロホルムは規定されていないため、使用していたとしても調査義務は発生しません。改正され使用していた場合どうなるのだろうか?
③ ほかの化学物質においても分解により、規定されている物質が生成されるのではないのだろうか?

 この内容は私にとっては衝撃・無知・経験・衝撃・疑問と小さな事象かもしれませんが、意味深いものでした。

アンテナを張り巡らせる

 私は現在、(一社)土壌環境センター 技術委員会自主事業の『物質特性に応じた土壌・地下水汚染の調査・対策方法の検討部会』に参加しています。部会では、今回のクロロホルムのような土壌汚染対策法に指定されなかった物質や特定の有害物質にこだわらず、様々な化学物質による土壌・地下水汚染に直面した際、物質特性に応じた調査・対策の具体的な手法を検討し、関係省庁及び土壌・地下水汚染の調査・対策の技術者へ、手法・考え方等を発信していく予定です。

 今後も、知識・情報を得るため、「常にアンテナを張り巡らさなければならない!」と思いました。

調査第一グループ 土谷