オオスミBLOG スタッフが現場の様子をお届けオオスミBLOG スタッフが現場の様子をお届け

福島で自然環境について考えるPart2

 東日本大震災の発生から既に8年半の月日が経ちました。私自身、断続的に福島県の被災地復興関連業務に携わるようになって約6年になります。その間、被災地の状況も大きく変わりました。

ウシ.jpg 市街地を見ると復興はゆっくりでありながらも着実に進んでいるように見えます。平成29年に居住制限区域の避難指示が解除されて以降、行政機能は再開し、病院も新設され、少ないながらも地元住民の帰還が見られ、除染工事や家屋の解体及び新築工事に従事する作業員によって町は一定の活気を取り戻しているように感じられます。

 しかし、市街地から少し離れた帰還困難区域に目を向けると状況は変わります。福島第一原発の爆発事故の際の風向き等の影響により、空間放射線量は区域によって大きく変わるため、同じ町内でも復興・帰還へのスピードが異なるのです。

 富岡町を例に取ると、桜で有名な夜の森地区が帰還困難区域にあたります。バリケードで区切られた桜並木の映像をテレビで見たことのある方も多いのではないでしょうか。夜の森地区は、現在も除染工事が行われており、将来的には避難指示が解除されることになるのでしょうが、それでもまだ手付かずで残されている区域も存在します。

福島で見かけた野生動物

イノシシ.jpg ところで、被災地に初めて来た時からずっと驚かされていることがあります。

 それは野生動物の多さです。今でこそ見かける機会が少なくなりましたが、以前は町中をイノシシ(又はイノブタ)が闊歩していました。
 地震の被害は大きくなかったのに、避難中にイノシシに家を荒らされて住めない状態にされてしまった住民さんも多いと聞いています。

 一時期は国道6号を通勤途中に毎日のように車に轢かれたタヌキを見かけたこともありました。今年の春にはキジがあちこちで鳴いており、キジ.JPG夏を迎えると小さな雛鳥を連れた親子を見かけることもありました。また個人的には、富岡町で初めて野生のキツネを見ました。

 牛などの家畜となると話は別ですが、彼らは元々この地域の住人だったのでしょう。人間が来て、農地を拓き、家を建てたから仕方なく山林の奥部に隠れていたものが、人間がいなくなったがためにまた自分たちの居場所や餌を求めて出て来たのだと思われます。キツネ.jpg

 放射能を恐れて人間が居なくなったその場所で、活気に溢れて生活している彼ら野生動物の姿を見ていると、自然界における人間の立ち位置というものを改めて考えさせられる気がします。

 調査第三グループ 野島