室内空気環境測定 Q&A

2019年1月17日よりキシレン等室内濃度指針値が変更されました!

室内空気環境測定 Q&A

シックハウスに関係する、空気環境測定の進め方や、測定方法の違いなど、 よくある質問を集めました。

Q.空気環境測定におけるアクティブ法とパッシブ法の違いは何ですか?

更に検知管法という測定方法もございます。以下の表をご参照ください。

測定方法 目的 方法
アクティブ法 最も気温の高い時間帯で測定を行なうため、室内の最高濃度を把握することができます。 厚生労働省の標準的な採取方法として示されている方法です。
新築の場合は30分間、居住住宅では24時間ポンプで空気を吸引し、1箇所につき二重に測定(同時に2検体採取)します。
パッシブ法(拡散法) 室内に長時間設置して採取する為、室内の平均的な濃度を把握することができます。 室内に8時間~24時間採取器具を設置して測定します。
検知管法(簡易法) その場で結果が出ることから、現状把握のためのスクリーニングを目的として使用することができます。 検知管をセットしたポンプで空気を30分間吸引して測定します。
精度は高くありませんが、測定したその場で結果を把握することができます。測定可能項目は、ホルムアルデヒド・トルエン・キシレンに限定されます。

Q.室内空気環境測定の流れをおしえてください

 新築・改修工事後測定の場合、測定対象室の工事(内装・塗装工事)が終了し、周辺工事からの影響を受ける恐れがなくなった後、十分な換気を行ってから測定を行います。常時換気が空調設備により行われる場合は、設備の試運転・調整が終了後に測定を実施します。

以下、新築・改修工事後の測定スケジュール例をご紹介します。
 ・アクティブ法(6箇所程度の場合
  8:30~測定対象室を30分間換気 (お客様にて実施)。
  9:00~窓・扉を閉め、測定対象室を5時間以上密閉(お客様にて実施)。
    (窓・扉を閉めた後測定終了まで、測定室へは立ち入り禁止になります)
  14:00~測定(採取)開始。1箇所あたり30分間。
      測定箇所が複数ある場合、機材を順番に移動させて実施。
  16:00頃採取終了。
   検体を実験室へ持ち帰り、分析を実施。結果は約1週間後に速報。

 ・パッシブ法(24時間採取 10箇所程度の場合)
  8:30~測定対象室を30分間換気(お客様にて実施)。
  9:00~窓・扉を閉め、測定対象室を5時間密閉(お客様にて実施)。
    (窓・扉を閉めた後測定終了まで、測定室へは立ち入り禁止になります)
  14:00~測定(採取)開始。測定器具を順次設置。
      その後測定作業員は一旦撤収。
  翌日14:00~ 測定器具を順次回収し、15:30頃測定(採取)終了。
   検体を実験室へ持ち帰り分析を実施。結果は約1週間後に速報。

Q.空気環境測定を行うタイミングはいつですか?

 新築や改修工事の終了後、引き渡しまでの間に測定を行う場合が多いですが、その他のタイミングとして、工事着手前や家具等の什器搬入後、新築等工事後の最初に訪れる夏季に測定を行う場合もあります。測定を行うタイミングは目的により異なり、工事仕様や監理・監督者様の判断によりますので、各案件ごとに御確認下さい。

Q.測定する場所はどのように選定するのですか?

 居室等が測定の対象です。複数室あり、建築材料が共通の場合は、代表となる居室以外の測定を省略する場合もあります。また、居室面積により一室の測定箇所数が増加する場合もあります。測定場所・数量は、工事仕様や監理・監督者様の指示によることも多いので、各案件ごとに御確認下さい。

Q.空気環境測定中に工事を進めても大丈夫ですか?

 室内空気測定の正しい結果が得られなくなり、本来の測定目的が果たせなくなるおそれがありますので、工事は休止して頂く必要があります。屋外や測定対象の部屋以外であっても、周辺で塗料・接着剤等の溶剤を使用する作業を行っている場合は、測定結果に影響を与える可能性があります。

Q.測定にあたり、常時換気システムはつけたままでよいのでしょうか?

 常時換気システムは、測定前の測定室閉鎖中・測定中ともに、稼働させて下さい。この際、外気の吸気口付近で溶剤等を使用する作業等があると、室内まで影響する場合があるのでご注意下さい。

Q.パッシブ法の測定時間は8~24時間とありますが、24時間の測定は必要ですか?

 パッシブ法は原則として24時間の測定を行うことが多いです。工事の工程都合により8時間の場合がありますが、その場合は昼間測定を行います。 なお8時間測定の判断は、監理・監督者様に御確認下さい。

Q.納期はどれくらいですか?

 測定対象となることが多い7物質(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン)の測定では、10カ所程度であれば、採取から1週間後に速報、10日後に報告書をお届けします。お急ぎの場合は、ご相談ください。

Q.検査はどのように判断されますか?結果が悪い時はどうしたら良いですか?

 測定結果は、厚生労働省が定める室内濃度指針値と比較・判断されます。指針値を超過した場合、その後の措置について、監理・監督者様等へ報告・相談して頂くようご案内しています。実際には、超過物質の低減措置(換気の実施等)を行うことが多いです。
 換気については、オオスミのブログ『換気のススメ』をご覧ください。

Q.F☆☆☆☆の材料を使っていれば安全ですか?

 F☆☆☆☆等級は、あくまでもホルムアルデヒド放散量についてのものです。その他の化学物質が含まれている場合がありますので、SDS(安全データシート)や製品パッケージの表示から、測定対象物質が含有していないか確認する必要があります。

Q.ワックス(その他の建材)などに測定結果に影響を与える可能性のある物質は含まれていますか?

 建材の種類やメーカーによってさまざまですが、測定結果に影響を与える可能性のある物質が成分として含まれていることがあります。※発生源となる主な建材の表をご参照ください。
 また各製品のSDS記載の成分をご覧頂くことで、含まれる物質を確認できます。 なお、SDSには質量1%未満の含有物質は記載されておりませんので、物質の記載の有無にかかわらず、施工後、十分換気して頂くことをお勧めします。 

Q.特に結果に影響を与えやすい建材は何ですか?

 油性塗料、タッチアップ塗料、汚れ落とし剤(溶剤系)、シンナーに測定対象物質が高濃度で含まれるケースが多いですが、建材種類は似ていてもメーカー・品番により含有の有無が異なりますので、各製品のSDS記載の成分をご確認頂くことをお勧めします。 

Q.建物建築時に空気環境測定の法的義務はありますか?

 建築基準法によるシックハウス対策に関する化学物質の規制は、「クロルピリホスを添加した建築材料の使用禁止」、「ホルムアルデヒド発散建築材料の使用制限」及び「換気設備の義務付け」であり、空気環境測定の義務は示されておりません。なお、学校に対しては学校保健法に基づく衛生検査の実施義務(学校環境衛生の基準)があり、また各自治体の要綱等により空気環境測定が要求されている場合があります。

Q.新築工事の仕様書に測定の記載がない場合はどうしたら良いですか?

 測定の要否、内容につきましては、監理・監督者様又はエンドユーザー様へご確認ください。測定を行う場合は、各種ガイドラインを参考に、目的に応じた測定方法をご提案させていただくことも可能です。