オオスミでは、建物等の解体工事時に伴う事前調査として、アスベスト含有建材の有無を確認するための『アスベスト調査』を行っています。
私は昨年、アスベスト調査の担当となりました。それまでは、土壌調査の担当をしていたので、全くの初分野の仕事です。実際に担当してみると、思っていたよりもアスベストが様々な場所で使われていることに驚きを感じるとともに、建材の種類が多く、覚えることが沢山あると感じました。
アスベストとは、石綿(いしわた)や(せきめん)とも言い、天然の繊維状ケイ酸塩鉱物の一部の総称です。その特性が多くの長所(引っ張り強さ等)を持ち、かつ経済性にも優れていたため、1960年代の高度経済成長期に、ビルや建物の建材として大量に輸入・使用等されました。
しかし、アスベストによる中皮腫や肺がんなどの健康被害が大きく報道され、法規制等も整備されたことから、現在では輸入・使用等が禁止になっています。
下の写真は、アスベストの6種類の鉱物のうち、2種類を特殊な顕微鏡で見たもので、繊維状の鉱物が見えます。
アスベスト建材は、意外に身近な場所に使われています。建物の種類としてはビル・工場・住宅等の様々な建材として、また使用場所としては主に壁、柱、床、はり及び屋根等の建材として使用されています。
下の写真は、配管のエルボ(L字形になっている部分)に保温材として使用されているもので、保温材の上にテープ等が巻かれているため、通常は直接見えることはありません。
こんなにも身近な場所にある建材ですが、適切な調査・管理・措置を行っていれば、アスベストによる健康被害は未然に防止することが出来ます。
現在、アスベストの有無を調査するには、資格は特に必要ありませんが、厚生労働省から出された石綿指針では、『アスベストに関し広い知見を有する者』とされ、「石綿作業主任者」や「アスベスト診断士」が例示され、調査によっては、資格が条件となることもあります。
また最近、「建築物石綿含有建材調査者」という資格が新たに出来ました。将来的には建築物の調査・除去等に係る国庫補助に当たり、この調査者の資格を付与された者のみが調査を行うことになるかもしれないと言われています。
私は、昨年「石綿作業主任者」を、今年「アスベスト診断士」の資格を取得しました。「建築物石綿含有建材調査者」は、オオスミに合格者が1名おりますが、とても専門性が高く、経験年数が必要な資格なので、いつか挑戦したいと考えています。
過去、アスベストは大量に輸入され、その多くは建材として使用されました。今後これらの建物の老朽化による解体工事の増加に伴い、解体工事従事者の健康障害の発生が懸念されます。そのことからも、『アスベスト調査』の需要が今後も続くと考えられ、資格の取得や広い知識を有することがより大切であると感じています。
アスベスト調査の詳細については、オオスミHP『アスベスト調査とは』をご参照ください。