2025年10月施行「オゾン濃度基準」への対応-ホテルが取り組むべき安全管理の再点検
ホテルや宿泊施設では、快適な空間づくりの一環としてオゾン脱臭機が広く活用されています。
オゾンは強力な酸化作用を持ち、タバコ臭や体臭、カビ臭などを分解し、短時間で高い脱臭効果を発揮する技術です。
一方で、オゾンは化学物質であり、高濃度では人体に影響を及ぼすおそれがあります。そのため、オゾン脱臭機メーカー各社の取扱説明書では、運転中(オゾン発生中)は立ち入り禁止と明確に記載されています。
本ブログでは、このメーカー指示を厳守することを大前提としたうえで、運転停止後に作業者が立ち入る工程に焦点を当て、安全管理の考え方を整理します。
2025年10月1日からは、作業環境におけるオゾンの短時間濃度基準(0.1ppm/15分平均)が施行されました。これにより、運転停止後の立ち入り判断についても、より合理的で説明可能な管理が求められています。
オゾンはリスクアセスメント対象物である
オゾンはリスクアセスメント対象物に指定されています。
これを業務として取り扱う作業場では、リスクアセスメントの実施および化学物質管理者の選任が必要となります。この要否は作業時間の長短ではなく、「ばく露のおそれ」があるかどうかで判断されます。
また、オゾンには短時間濃度基準値(0.1ppm/15分平均)が設定されており、作業者のばく露をこの値以下に管理することが求められています。
一方で、この基準をどのような手順や方法で担保するかについて、オゾン脱臭作業に特化した一律の具体的手順が示されているわけではありません。
そのため、メーカー取扱説明書に従い運転中を無人とすることは当然の前提である一方、運転停止後に作業者が立ち入る工程については、事業者自らが合理的根拠に基づいて管理方法を整理する必要があります。
オゾン脱臭におけるリスクの本質
オゾン脱臭におけるリスクの本質は、「使用中に人が入るかどうか」ではなく、停止後、いつ・どの条件で入室するかにあります。
停止直後は室内に残留オゾンが存在する可能性があり、入室タイミングを誤ると短時間濃度基準(0.1ppm)を超えるばく露が生じるおそれがあります。
厚生労働省の専門機関からは、運転停止後の立ち入り管理こそがリスクアセスメントの対象であるとの見解が示されています。
オゾン発生量、運転時間、室内容積、オゾンの分解速度(半減期)などの条件を整理することで、時間経過に伴う室内オゾン濃度を推算することが可能です。その推算結果に基づいて立ち入り可能時刻を設定すること自体が、リスクアセスメントに基づく管理措置となります。
オゾン濃度測定は、推算の妥当性確認や現場条件に応じて実施すればよく、必ずしも測定のみが唯一の管理手段ではありません。ただし、初回導入時や条件変更時には、推算と実測値に乖離がないか確認するための測定が望まれます。
【よくある誤解】Q&A(運転停止後の立ち入り管理)
Q1. 運転停止後に短時間入室するだけでも、化学物質管理者の選任は必要ですか?
A1. 必要です。
オゾンを業務として取り扱う以上、化学物質管理者の選任は必要であり、リスクアセスメントの実施も必要です。安全管理の対象は、運転停止後の立ち入り工程にあります。
Q2. 停止しているのだから、すぐに入室しても問題ないのでは?
A2. 停止直後は室内にオゾンが残留している可能性があります。停止=即安全ではなく、待機時間の設定が必要です。
Q3. オゾン濃度測定をしていなければ違反になりますか?
A3. 必ずしも測定のみが唯一の方法ではありません。合理的な条件整理と濃度推算に基づく管理も可能です。ただし、初回導入時や条件変更時には測定確認が望まれます。
Q4. 停止後にオゾン濃度が再上昇することはありますか?
A4. 通常は考えにくいとされています。オゾンは発生停止後、時間とともに分解し濃度が低下する物質です。待機時間の設定が最も重要となります。
Q5. メーカーの取扱説明書どおり「運転中立ち入り禁止」としていれば、法令対応として十分ではありませんか?
A5. 運転中の無人化は大前提です。
しかし、それだけで法令上の義務を満たしたことにはなりません。メーカー指示とは別に、事業者としてリスクアセスメントを実施し、停止後の立ち入り条件を整理することが求められます。
まとめ
• オゾンを取り扱う以上、化学物質管理者の選任は必須
• オゾン発生中の立ち入り禁止は大前提
• リスクアセスメントの対象は、オゾン発生停止後の立ち入り工程
• 濃度推算に基づく待機時間設定は、現時点において実務上有効な管理手法
法改正を機に、「停止後をどのように管理しているか」を可視化することが、作業者の安全確保とホテルの信頼向上につながります。
オオスミでは、メーカー取扱説明書を前提としたうえで、運転停止後の立ち入り管理に特化したリスクアセスメント支援を行っています。