260930‗shimoyama.jpeg環境調査や水質分析において、とても重要なプロセスの一つが「サンプリング(採水)」です。
どれだけ最新の高性能な分析機器を使っても、最初のサンプリングが適切でなければ、正確な分析結果を得ることはできません。

「ただ容器に水を汲むだけでしょ?」と思われるかもしれませんが、実はさまざまな注意点があります。

サンプリングが重要な理由

水質サンプリングの目的は、「その場所のありのままの状態を切り取って分析室に持ち帰ること」です。
しかし水は、周囲の環境や容器の汚れ、さらには手の皮脂や汗が付着するだけでも変化しやすい、繊細なものです。

そのため、サンプリングの段階で不純物が混ざること(汚染=コンタミネーション)を防ぐ必要があります。

正確な分析につなげるためのサンプリングのポイント

260930‗shimoyama2.png・分析項目に合わせた「容器選び」
まずは適切な採水容器を選ぶことから始まります。水質サンプリングでは、「何を測りたいか」によって容器を使い分けることが重要です。例えばVOC(揮発性有機化合物)を分析する場合は、試料の揮発を防ぐため、気密性の高いガラス容器を使用します。

・現場での「とも洗い」は3回以上
とも洗い(共洗い)とは、採水場所の水を容器に少量入れ、キャップをしてよく振り、その水を捨てる作業です。新しい容器であっても、製造時や保管時に目に見えない汚れが付着している可能性があります。また、容器内にわずかに残った純水によって試料が希釈されることを防ぎ、分析精度を保つためにも重要な作業です。
ただし、とも洗いを実施してはいけない分析項目もあるため、注意が必要です。

・採水後の保存・保管
採水した瞬間から、容器の中では微生物の活動や化学反応が始まり、水質は刻一刻と変化します。
そのため、採水後は速やかに冷暗所で保存する必要があります。

安全なサンプリングのために

260930‗shimoyama1.png水質調査の現場では、「足場が狭い場所」や「マンホール・地下ピット」など、危険を伴う場所で採水を行うことがあります。例えば、水面まで数メートルの高さがある足場の狭い場所で採水する場合は、体を外へ乗り出さないことや、採水道具の落下防止が重要です。

また、マンホールや地下ピットでの採水では、硫化水素や可燃性ガス、酸欠などのリスクがあり、「酸欠・硫化水素危険作業」に該当する場所もあります。

特に注意したいのは、中を絶対に覗かないことです。内部で作業が必要な場合は、専用の「複合型ガス検知器」のセンサー部分を紐で吊り下げて内部に下ろし、硫化水素濃度や酸素濃度が安全圏であることを確認してから作業を行います。また、マンホール内への人や物の落下にも注意が必要です。

このように、分析の目的を達成することはもちろん、安全に採水できる場所を選ぶことも重要です。

正確なデータを持ち帰るために

水質サンプリングの目的は、「正しいデータを持ち帰る」ことです。
しかし、作業者が怪我をしてしまっては意味がありません。

「事前の準備」と「現場での無理のない判断」を心がけ、安全を確保しながら適切にサンプリングすることが、正確な分析結果につながります。


 分析技術グループ 下山