感染症対策の最前線で欠かせない
― 医療従事者に求められるマスクフィットテスト
感染症対策の最前線に立つ医療従事者にとって、N95マスクの正しい装着は自分と患者を守る最も基本的な行為です。しかし、「正しく着けているつもり」でも、実際には隙間ができてしまうことがあります。
その"見えないズレ"を防ぎ、確実な防護を実現するために欠かせないのが、マスクフィットテストです。
現場で感じた意識の変化
先日、感染医療従事者を対象としたN95マスク講習に参加しました。講師の方からは、コロナ禍では非常に高かった感染対策意識が、5類移行後には少しずつ低下している現状が指摘されていました。
厚生労働省のガイドラインでは、感染病棟への入室時にN95マスクの着用とフィットチェックを行うことが明記されています。これは形式的な作業ではなく、医療従事者が安心して医療を提供するための"安全確認"なのです。
定量チェックで「安心」を見える化
講習では、各メーカーにおける定性・定量機器が紹介されていました。特に印象的だったのは、定量的マスクフィッティングテスターを使用したフィットチェックを導入している病院の事例です。感染病棟に入る前に、毎回数値で漏れを確認することで、「結果を見える化し、安心して医療に専念できるようにしている」と伺いました。
当社でも、保護具講習や新入社員研修でフィットチェックを取り入れ、使用状況を客観的に把握する取り組みを進めています。
変化する感染対策と今後の課題
一部の病院では、N95マスクだけでなく防護性能が高く快適性があるPAPR(電動ファン付き呼吸用保護具)を導入し、顔面の密着部を個別に管理するなど、感染対策が進化していると感じました。
一方で、N95マスクは形状によってフィットしにくい場合も多く、私自身もテストで不合格になるタイプがありました。改めて、自身にあったマスクを見つけること、"着けている"ことと"守れている"ことは別であると感じました。
厚生労働省の「結核院内感染防止指針」でも、医療従事者の安全を守るためにフィットテストが推奨されています。感染医療機関に限らず、高齢者施設や介護現場など、感染リスクの高い職場でも重要な取り組みと考えます。日々の業務の中で慣れが生まれやすいからこそ、装着の確実性を"数値で確認する文化を大切にしていきたいと思います。
オオスミでは、化学物質に関する労働衛生コンサルティングの専門家が中心となり、医療機関や介護施設を対象に、定性・定量マスクフィットテストの実施サービスを提供しています。現場で働く方々が「安心して患者と向き合える」環境づくりを、測定・講習・教育支援を通してサポートいたします。

