食品工場や農用地等の土地改変でも土壌調査が必要かも? ~土地の形質変更の際に注意したいポイント~
大規模な再開発や工場敷地での建物の増改築など、土地の形質変更を行う際には、土壌汚染対策法や都道府県の条例に基づき「土壌汚染状況調査」が求められるケースがあります。
今回は、東京都内での土地の形質変更に関して、どのようなケースで土壌調査が必要になるかを実際の事例を交えて紹介します。食品工場や農用地、住宅地など、一見すると特定有害物質の取り扱いに関係がなさそうな土地でも調査が必要になるケースがあります。
土地の形質変更では条例にも注意
都内での土地の形質変更に関しては、土壌汚染対策法のほか、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」の適用を受けます。そのため、「土壌汚染のおそれがある」場合には、土壌汚染状況調査の実施が必要です
この「土壌汚染のおそれがあるかどうか」は、対象地の「地歴調査」を行うことで判断することができます。
地歴調査とは
「地歴調査」では、次のような資料を確認します。
・地図や登記簿
・対象地内の事業所が役所に提出した環境関係の届出等の「公的届出資料」
・会社案内や使用薬品リストなどの「私的資料」
さらに事業場関係者への聴取調査等を実施し、対象地内で使用等が懸念される特定有害物質の有無や種類などを判断する流れとなります。
※このほかにも自然由来や水面埋立土砂由来による土壌汚染のおそれも判断する必要がありますが、今回のブログでは省略します。
土壌汚染のおそれがある典型的なケース
典型的なケースとしては、以下のような例があります。
※ダイオキシン類については土壌汚染対策法の対象外ですが、一部の自治体(横浜市や神奈川県など)では条例で特定有害物質とは別にダイオキシン類に関する調査を義務付けている例もあります。
このほかにも、
・ガソリンスタンド(ガソリン中へのベンゼンの含有)
・コンクリートプラントを設置する事業場(生コンクリートへの六価クロムの含有)
・理系の大学やオオスミのような分析用の試薬を取り扱う事業所
なども、特定有害物質の使用が懸念される事例として比較的多くみられます。
意外と多い「想定外のケース」
また、当社で調査を行った事例では、次のような意外なケースもありました。
・食品系の製造工場
食品や飲料などを製造しているため、基本的には製造工程で特定有害物質の使用を行うケースは考えにくいですが、製品の試験研究のために分析室等を設置しており、そこで試薬類として特定有害物質を含む薬品の使用・保管があった、などの理由で「土壌汚染のおそれあり」と判断されたケースもあります。
・戦前~戦時中の旧軍施設や軍需工場等が過去に立地していた土地
現在は農用地や住宅地である土地でも、過去に旧軍施設等の立地履歴が判明する例もあります。
旧軍施設についても、弾薬(鉛等の使用の懸念有)などの使用・保管の可能性があるために「土壌汚染のおそれあり」と判断されるケースがあります。
また、戦闘機や弾薬などの製造を行っていた工場についても、製造業と同様に「土壌汚染のおそれあり」と判断されることがあります。
地歴調査で重要なポイント
「地歴調査」における注意点として、現在立地している事業所や近年まで立地していた事業所のみを対象としているのではなく、「可能な限り(少なくとも戦後以降まで)」過去にさかのぼり事業所の立地履歴を追う必要性があります。
「現在は何もない畑だから大丈夫だろう」
「昭和30年代からずっと住宅地だから問題ないだろう」
と思った土地でも、利用履歴を調べてみると過去に工場や旧軍施設等が立地していたことがわかり、土壌汚染状況調査が必要となり、調査した結果土壌汚染が判明した...というケースも実在します。
そのため、土壌関係の手続が必要となる要件に該当する場合は、まずは「地歴調査」を実施して、「土壌汚染状況調査」が必要となるのか、また、調査の結果土壌汚染が判明した場合の対応はどのようにするのか、といった事例への想定も重要となります。
オオスミでは、「地歴調査」から「土壌汚染状況調査」、そして土壌汚染が判明した場合の「対策工事」までを一貫して対応しております。
土地の形質変更の際に、「土壌汚染状況調査が必要か?」、「汚染が判明したらどうしたらいいのか?」などの不安がございましたら、ぜひ当社にご相談ください。