250730hirano.png「化学物質管理」というワードを耳にしたことはありますか?近年、労働安全衛生法において化学物質規制の見直しが進められています。
 その背景には、労働災害の原因となる物質の多くが、法令で規制されていないものである、という事実があります。そこで、法令による個別規制から、事業者が自ら管理する「自律的な管理」へとシフトしていこう、という動きが出てきたのです。

この管理方法の一つが、リスクアセスメントの実施です。
リスクアセスメント...つまり自分たちの現場にどんなリスクがあるのかを自ら把握し、問題があればその対策を検討することが求められるのです。

リスクアセスメントツールの一つに厚生労働省が発表している「CREATE-SIMPLE(クリエイト・シンプル)」があります。簡単な質問に答えていくだけでリスクを見積もれるという触れ込みで、一見すると難しそうに見えますが、誰でもリスクアセスメントを行えるツールです。

実際に「クリエイト・シンプル」を使ってみる

まずはリスクアセスメントの対象となる作業を把握しておきましょう。

-準備するもの-
①使用している化学物質のSDS
②実際の作業状況の情報(使用量、頻度、換気状況など。)

次に「クリエイト・シンプル」をダウンロードしましょう。
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07_3.htm
クリエイト・シンプルはExcelのマクロファイルです。
ダウンロードページにはマニュアルもありますので、併せて使用しましょう!

早速ツールを使用していきます!
(※詳しい操作方法や判定結果の意味等は先ほどのマニュアル参照です。)
対象物質を入力します。CASNoと呼ばれる物質に固有の番号が便利です。最大10物質の混合物の評価が可能です。
sizen.JPG 次に作業内容や換気の状況を入力する欄があるので、一つずつ埋めていきます。全15問です。
sizen.JPG
入力し終わったらページ下部のリスクの判定ボタンを押します。
すると...
sizen.JPG このようにリスクレベルが出てきます!

実施レポートに出力ボタンを押すとレポートシートへ移ります。
レポート画面でリスクの低減措置(使用量の再検討、換気装置の導入など)を検討することが出来ます。

ここまでが一連の流れです。
他の作業や物質に対しても同じ手順を繰り返していきましょう。

リスクアセスメントの手法は1つじゃない!

クリエイト・シンプルはリスクアセスメントの手法として大変優秀なツールです。とはいえ、必ずしもこのツールだけを使わなければならないわけではありません。また、クリエイト・シンプルは実測をしなくても予測値として曝露(ばくろ)濃度を推定することが出来ますが、リスクが高い場合や正確な値が知りたい場合、やはり実測するほかありません。

一方で、実測はハードルが高いのも事実...!だからこそ、まずはリスクの見積りだけでも、クリエイト・シンプルなどのツールを活用して始めるのがおススメです。 

何のためにリスクアセスメントを行うのか

化学物質の管理において、リスクアセスメントの実施が義務化されました。義務、となるとどうしてもリスクアセスメントをこなすこと自体が目的になってしまいがちです。本来の目的は職場で働く労働者が、病気やケガなく安全安心に作業が出来ることです。この目的を忘れずに、クリエイト・シンプルやその他のツールを用いて快適な職場環境の形成ができるといいですね。

オオスミでは労働衛生コンサルティングサービスを提供しています。「化学物質の管理、何から手をつければいいの?」「実測したいけれど、どこに依頼すればいいの?」そんなお困りごとがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。 


 調査第二グループ 小澤