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土壌調査の専門用語「フェーズⅠ調査」とは?

 フェーズⅠ(ワン)調査は履歴調査とも呼び、土壌調査の第一段階で、「住宅地図や登記簿から土地の利用履歴を調べること」と思っている人が多いと思います。 でも、それだけではない面もあります。そこで、フェーズⅠ調査の歴史からご紹介します。

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フェーズⅠ調査の原点!「スーパーファンド法」

 フェーズⅠの考え方は米国の「スーパーファンド法」に始まります。 スーパーファンド法は、非常に簡単には「土壌汚染が問題になった場合、国が基金(=ファンド)の資金で調査、浄化を行い、費用負担を汚染の当事者が負う」という法律です。汚染の当事者とは、有害物質の発生者、現在及び汚染当時の土地の所有者、さらに融資金融機関も該当します。

 スーパーファンド法には、訴訟の国・米国らしい「免責対象者」が定められています。免責対象者は、「汚染の事実を知らずに土地を取得した者」「汚染源に隣接している土地所有者」「取得を検討している対象地がすでに有害物質に汚染されてしまっている者」が該当します。 免責対象者に認定される要件の一つが専門家による環境デュー・デリジェンス調査で、その実施基準が「ASTMフェーズⅠ」です。専門家がフェーズⅠ調査を行い、「土壌汚染の可能性がない」とした土地で、あとから汚染が見つかっても費用負担を求められることはないのです。

1つの目的は土壌汚染の有無を否定すること

 スーパーファンド法は日本では適用されません。しかし、金融機関では「担保価値」等のリスク評価の面から米国にならったフェーズⅠ調査が広く採用されており、フェーズⅠ調査で「土壌汚染が存在する可能性が低い」の結果で融資を決定する。という慣例ができました。 つまり、ここで言うフェーズⅠ調査は「土壌汚染の可能性を『否定する』」ことが目的です。

目的の異なるもう一つの調査

 一方、土壌汚染対策法では平成22年の改定で「地歴調査」という概念ができました。ただし、汚染の有無を否定することが目的ではなく、有害物質の使用の有無を確認し、精度の良い土壌汚染状況調査を行うことが目的の調査です。

 このように同じ土地の履歴を調べるものであっても、フェーズⅠ調査と地歴調査ではその目的が異なります。

調査第一グループ 鈴木