オオスミが実施している作業環境測定の単位作業場所は、年間1500件以上にもなります。その中の約2%が、第3管理区分と評価される環境が悪い作業場です。そのような作業場では、環境が悪くなる共通する要因があります。
今回は、その共通する要因をご紹介します。
(1)発生源の開放
有害物質が含まれる塗料、接着剤、洗浄剤、試薬などが、発生源になります。作業中はもちろんですが、作業をしていない状況でもこの有害物質が入っている容器のふたが開いているケースがあります。容器のふたが開いていることで作業場に有害物質が発散し、環境を悪くしてしまいます。
(2)局所排気装置の利用
局所排気装置(以下、局排)は設置されているが、局排以外の場所で有害物質を取扱うケースがあります。作業者の方に、「なぜ局排で作業を行わないのか」とお伺いすると、作業効率(局排の作業スペースが狭い、作業の流れなど)を考慮して局排を使用しないとの返答があります。
発散した有害物質を効果的に排気することが、局排の役目です。その局排を利用しないと、作業場の環境は悪くなります。
また、局排が有効に活用されていないケースも見受けられます。例えば、ドラフトチャンバー(以下、DC)などの囲い式フードでは、開口部の高さが重要になります。規定の風速(制御風速)を満たす開口高さで作業することにより、有害物質がDCから漏れることを防ぎます。しかし、全開で使用してしまうと、規定の風速を満たすことができない可能性があります。そのため、DCから有害物質が漏れ、作業場へ拡散してしまいます。
(3)整理整頓がされていない
作業場で器具や試薬などが乱雑に置かれ、整理整頓ができていないケースが見受けられます。例えばDC内にモノが乱雑に置かれている場合、DCの吸引口が塞がれ、規定の風速が出ないケースがあります。その結果、有害物質がDCの外へ発散してしまい、作業場の環境が悪くなります。
上記の要因をみて、どのように思われましたか。当たり前のことだと感じられた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、環境が悪い作業場では、基本的な安全衛生の活動が実施できていない現状があります。
その状況に気が付かなかった。有害物質を取扱う知識が不足していた。など、実施できなかった理由があると思います。
オオスミでは測定時、作業者の方へ作業方法などをヒアリングした上で、発生源や局排の取扱い方についてアドバイスしています。また、結果報告の際、環境改善への対策などの提案をしています。
今後もオオスミの事業が、皆様の労働環境向上の一助となるよう精いっぱい取り組んでいきたいと思います。